薬剤師のつぶやき
薬剤師のつぶやき59 ~のみダニ薬の副作用と歴史~
今日はのみダニ薬やフィラリアの歴史などを振り返って、なぜ今こんなに腫瘍や原因不明の病気が多いのかを考えていきたいな~と思います。
つぶやきであることはお忘れ無く!
ここ数日お休みをいただいて、皆様ご相談があった方の犬猫さんの再度健康処方箋を見直したり、セミナーで何を伝えていこうか考えて作業しております。
そのなかで腫瘍というワードがたくさんでてきたこと、また原因不明な肝臓疾患や腎臓疾患などのご相談も増えていること
そして薬の乱用が増える中、ノミダニの薬についても考えていました。
ひとりひとり相談内容も違いますので1つ1つに向き合って、しっかりとその後どうしていくのが良いのかも考えながら書いていたときに、やっぱりこの虫除けは
いま現代の子は免疫がおちているのにもかかわらず、強い薬を使用する機会が多く、様々な病気に直結していっているのかもしれないなという思いがでてきて書いてみることにしました。
まずのみダニというのは私が10代から20代のころ首輪というものでガードしていました。それが
※オテロカラー
※ボルホカラー
です。これらは首輪に薬がついていたので犬猫さんが舐めたりするという危険性があったのと皮膚疾患の子には使用できないという問題がありました。
そのあとでてきた製品が
※プログラム
です。この製品はルフェヌロンという、ベンゾイルフェニル尿素系の昆虫成長制御剤(殺虫剤)でした。基本的にすべて殺虫剤の類ですよね。
農薬ではないということも多く書かれていますが、基本的には植物や動物を外部寄生虫から守るために開発された農薬か除草剤というものがほとんどです。
これは当時猫さんの(アメショー)ブリーダーさんが堕胎してしまうと問題になってました。
その後でてきたのが
※フロントライン
※フロントラインプラス
これはフィプロニル、そしてフロントラインプラスにはメトプレンが追加された製品です。
フィプロニルは有名でゴキブリ退治の殺虫剤としても使用されています。これはEUでは今は使用禁止になっているところが多く、FDAでも問題になってますね。
フロントラインはのみ、マダニ
フロントラインプラスはのみ、マダニ、幼虫や卵 に効果のあるものです。
※ネクスガード
※ネクスガードエクストラ
これはアフォキソラネルという除草剤が使用されています。これは節足動物の神経系に作用する薬で哺乳類には影響がないと言われています。エクストラのほうはこのアフォキソラネルにミルベマイシンオキシムがプラスされ
蚊(フィラリア)にも対応した製品ですね。
有名どころというよりもほかはジェネリックが多いので割愛させていただきますが、中身はみんなほぼ同じです。
犬猫さんの体というよりも、いかに虫を殺すかというところばかりに着目しているような気がして私は使用したことがありません。
(もちろん取扱したことはあります。)
実際に厚生労働省や動物用医薬品検索データなどで調べておりますが、安全性というよりも問題ないという形なのがとても気になったので文献も読んでいます。
ここに貼り付けてもよいのですが、難しい言葉の羅列になっていまいますので簡単に説明いたします。
※基本的には外部寄生虫だけに特化して効果が発生される化合物である。
※除草剤もしくは農薬の部類に属します
※忌避剤ではなく、噛まれたりすることで外部寄生虫にダメージを起こし殺虫するという機能
※副作用は1年間での単位で使用した場合、どれくらいの量で副作用がでるかを犬(ビーグル)で実験をおこなっています。
実際におこる副作用(1年間1定量服用させて起こった副作用・・起こらなかった用量の場合には毒性所見なし)
痙攣、振戦、失調性歩行、自発運動低下、攻撃性、神経過敏、呼吸障害、嘔吐、流涎 ・体重増加抑制 ・PLT増加 ・T.Chol 増加、ALP、GGT上昇 ・無機リン及びT4低下 ・肝及び副腎比重量増加 ・肝及び副腎腫大 ・クッパー細胞の色素沈着 ・副腎皮質過形成 ・パイエル板の細胞低形成 ・腸間膜リンパ節の細胞低形成 ・肺胞の泡沫細胞集簇 副腎腫大 ・副腎皮質過形成 胸腺萎縮 低体重 ・肝細胞肥大 ・肝絶対及び比重量増加 ・肝細胞肥大
用量が大きいほど、これらの副作用は起こりました。
だからこの用量ではなく毒性所見なしという用量で薬は作られています。
しかしながら、私が疑問に思うところがこの1年間というところです。
たしかに年間で使用していることはないにしても、2年、3年と使用を続けることによって、この副作用が増大していくのではないかと思いました。そのため2年まで使用したというデータをみつけましたが下記のように増えていました。
・全身性の強直性/間代性痙攣 ・尾の創傷(咬傷)、皮膚痂皮形成、膣分泌物 ・飲水量増加 ・斑状肺 ・皮膚痂皮形成 ・肺胞泡沫細胞集簇 ・右心室拡張 ・前胃部の潰瘍、炎症性水腫、炎症性細胞浸潤及び慢性炎症 ・肝細胞小葉周辺部脂肪変性 ・盲腸及び結腸の出血性、壊死性、潰瘍性または炎症性の限局性病変 ・膀胱の慢性炎症 ・腎盂慢性炎症及び腎炎
ということは長く使用すればするほど副作用が増える、臓器へのダメージが大きくなるということだということもなんとなくわかりますよね。
だからといってマダニの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はとてもこわい疾患です。
そのためこれから守るためにも
※マダニが発生していると予測される地区で犬と生活する場合でマダニがいる時期
※マダニ生息場所で散歩する
等の場合には
※洋服(ラッシュガード)などを着て、忌避剤なども使用し、よせつけないことを考える
※薬を1時的に使用する(1ヶ月~2ヶ月のみなど期間を決める)
※ナチュラルなスポットなどを使用して、散歩のなどの際にさらにスプレーなどをして予防殺虫する
時期をしぼったり、ナチュラルな虫除けや殺虫する製品を使用しながら薬の期間を短くするなどの工夫が必要になってくると思います。
安全性が高いというのは「安全である」ということとは違います。これは
1回使用して命に別状があるわけではありません、軽い副作用は出る可能性はあります。
継続して使用する場合にはそれは保証できませんというのがほとんどです。
犬猫さんの臓器などにダメージがないわけではないことを忘れないでください。
人間でも使用を継続することによって、様々な副作用がでるものが薬ですし
薬に副作用のないものはありません。
また安全性は個体によっても違いますし、注意喚起が必要な農薬や除草剤は量によっては致死量になります。
私は30年この業界をみてきて腫瘍というものでもリンパ腫、メラノーマ、てんかんなどの疾患が増えたのはこのノミダニ薬の発展に比例していると感じ
そして今の節足動物の神経系に作用するというところもたとえば寿命分使用して問題ないということも言われているわけではありません。
確かに薬は必要です。
しかしながら間違いなく体、臓器へのダメージはあります。
そこだけは忘れずに愛犬愛猫さんとの生活が豊かで楽しく幸せにすごしてほしいと思います。
私たちがどんな虫や菌、害虫と共存しなければならないように、薬のようなダメージのあるものとの共存も必要であると思います。
ナチュラルだけでは生きるためにはかなりリスクもともないますから
なるべく負担が少ない方法で生活していってほしいと願います。