薬剤師のつぶやき
9/16 薬剤師のつぶやき15 ~膵炎~
これから・・・すでにはじまっているかもしれません。愛犬の体のなかの変化。
夏が終わり秋にかけて一番多くなりますので注意してください。
膵臓は、多くの消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌して食べ物を体内で消化するはたらきと、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌して体内の糖分をコントロール(血糖のコントロール)するはたらきを担っている臓器です。
膵炎とは、膵臓の炎症によって、2つのはたらきがいずれも徐々に衰えていく病気です。つまり、膵液(消化酵素)は本来食べ物を消化するのですが、膵臓自身を溶かしてしまい、繰り返し炎症を引き起こすことで膵臓の正常な細胞(腺房細胞、ランゲンハンス島)が徐々に破壊され、膵臓が硬くなったり(線維化)、膵臓の中に石(膵石)ができたりします。胆石やストレスでも発症することが知られており、なかには原因がはっきりしない場合もあります。
わかりやすく言うと膵炎は体液のバランスが崩れてお腹の痛み(激痛)と嘔吐下痢をします。でも元気なので???の場合が多く、下痢をしても下痢止めを飲んだり、食事はお腹すいたアピールをするので普通にあたえてしまう場合が多く、そのためだんだんひどくなります。
この時期の下痢嘔吐は大変膵炎、または膵炎になる手前の場合も多く、続くようなら食事をいったん抜いて水分だけを与えます。このときに水を飲ませるだけではなく、糖分のはいったものを少し飲ませてあげることも大切です。
糖分というと砂糖と連想しますが、このときの糖分というのは体液バランスを整えるために少し糖分(おかゆの上澄みとかでも良いです)をとることで、少し和らぐ場合があります。また食事は1日は抜いて臓器をいったん休ませ、その日はお散歩も控えるようにするのが良いと思います。まずは体を休ませてあげることを目標にしてください。
そして次に動物性タンパク質のないウエットフード食事をぬるま湯などでゆるめ、柔らかくしてスプーン1さじから給餌量半分くらいまで(食べたら)あげます。それで排泄の感じをみて、下痢がおさまりそうならだんだんとまずは量を、その次に食事の堅さをもどしていきます。
1週間ほどで下痢がなんとなくおさまってきますが、最初からドライフードをど~~~んとあげてしまうとまた元に戻ってしまうことがありますので、内臓をいたわるためにもつぶやきにものせたデトックスをおこなってみてください。
またこの場合の最初のウエットフードをドライフードをお湯に浸した物でよいですか?というご質問もよくうかがいますが、それはNGです。ドライフードはつなぎがはいっているためにあまり膵炎には適していないので、できるだけウエットフードをおすすめします。またコールドプレスやフリーズドライなどつなぎをつかわずお水やお湯で完全に溶けてしまうような食事でもOKですが、だいたい動物性タンパク質のものが多いので、植物性蛋白の食事をあげるようにしてください。
慢性化するとこわい膵炎です。仮性糖尿病になったり、てんかんなども引き起こす可能性がありますので、ぜひとも無理は禁物です。
肝臓の疾患をわずらっているかたは特になりやすい膵炎。この時期は細心の注意が必要です。