薬剤師のつぶやき
9/25 薬剤師のつぶやき24 ~尿路結石と食事~
今日は長編つぶやきです。もうすでにつぶやきではなくなってきています。
今日のお題は皆様も愛犬愛猫さんで経験したことがあるのではないでしょうか。
最近よくある質問が「結石用の食事をたべているのに結石がなかなか落ちなくて、どうしたらよいですか?」という質問です。
なるほど・・・・と思いますが、そこで質問となります。食事はその結石用の食事だけですか?と伺うと、最初はもごもごしていますが、「実は・・・」とはじまります。だいたい落ちないという際には結果なにかほかのものを食べていると考えられるのでそのような質問をしますが、意外と皆さん結石の種類についても、なんとなくしかご理解していないようで、下記のお話をすると驚かれ、わんちゃんのためにもうやめますとおっしゃいます。
それは・・・
先日セミナーでお話したのですが、私が若かりし頃(30年前・・・年齢ばれるではないか(^0^;))実は療法食で犬の尿石用といわれる食事というのは缶詰しかなく、ドライフードがありませんでした。猫ちゃんはそのころからストルバイトは定番でしたのでありましたが。。。そこまで犬の疾患としては多くなかったことが記憶にあります。あると便利だなあというほどのものでした。
ところが今現代になって弊社犬のストルバイトという療法食が欠品するほどの多さ・・・でもストルバイトは結構簡単におちてしまう結石です。しかしながらそうではない結石も。
尿路結石にもさまざまな種類があるので、これを確定することが大切です。もしストルバイトではなくシュウ酸カルシウム結石であれば特に溶けにくいものとなります。
結石の約80%はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのカルシウム結石です。そのほかリン酸マグネシウムアンモニウム結石や尿酸結石などがあります。
腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿の通り道(尿路)にできるため、総称して「尿路結石」ともいいます。
そしてよく聞くストルバイトというのはリン酸のほうの結石です。
まずは結石がなぜできるのかというと。。。
肉類など動物性タンパク質の摂取量の増加が指摘されています。愛犬たちの場合グレインフリーや生食などお肉を摂取できる環境になったのが大きな原因の1つでもあります。
動物性タンパク質の摂取が、どのように結石と関係しているのか…落ちない結石のほうであるシュウ酸カルシウム結石について説明しますね。
肉類などを多く食べると、シュウ酸や尿酸などの物質が体内に増えます。このうちのシュウ酸には、カルシウムと結合しやすい性質があります。シュウ酸は腸のなかでカルシウムと結びつくと、便と一緒にからだの外に排泄されます。
ところがシュウ酸の量が多いと、あまった分は尿のなかに出てきます。尿のなかでシュウ酸がカルシウムと結合すると、石のようなかたまりとなって排泄されにくくなり、腎臓に障害を及ぼしたり、尿管を詰まらせることになるのです。
こうした結石の仕組みからわかるように、肉類などの動物性タンパク質を多くとると、体内にシュウ酸などが増え、それだけ結石のリスクを高めることになります。
また、多くの結石にカルシウムが関係していることから、従来はカルシウムのとりすぎが原因のひとつとされました。しかしその後の研究などから、むしろカルシウムを積極的にとることが必要だとされています。それは腸内でシュウ酸と結びつくカルシウムを増やすことで、便として排泄しやすくするためです。
愛犬たちの食生活で様々な種類の食事やトッピング、おやつ等もふえたこと、またグレインフリーや生食で動物性タンパク質の摂取量が増えているのに対し、バランスがとれずカルシウムは必要とされる摂取量に足りていません。このことが結石を増やす大きな要因となっています。
また実は動物性タンパクだけでなくシュウ酸は結構愛犬が好んで食べるお野菜などにも多く含まれていて、ほうれん草、さといも、さつまいも、青大豆、たけのこ、レタス バナナ キャベツ ブロッコリー カリフラワーなど、多分皆さんがこの食材をみて
「あ、うちの子よく食べてる・・・」と思われる食材があったのではないでしょうか。
まずだいたい上記の食事を多く摂取しているわんちゃんがご相談多いのが事実ですね。
そしてきわめつけがおやつのジャーキーです。どのジャーキーもお肉ぎっしりなのでおすすめできません。これらが重なりなかなか石が溶けない状況にあるともいえます。
ストルバイトは水溶性なので尿が酸性に傾くことですぐに溶けてしまいますが、シュウ酸はカルシウムと結合して硬くなるためになかなか溶けないのもあります。
なのでシュウ酸カルシウム結石とわかったら、まずはバランスが整った総合栄養食や結石用の食事をとり、生野菜や生食や高タンパクの食事(お肉や内臓系)を控えて、また結石がなくなって尿Phがある程度安定してきたら多少食材に気をつけながら手作り食でも生食でも再開することは良いと思います。
なりやすいという子はなるべく療法食と組み合わせて上手にお付き合いしていけると良いですね。