薬剤師のつぶやき
9/19 薬剤師のつぶやき18 ~犬猫の目線~
先日、ショップさんで色々と皆さんの犬猫さんの相談をされる方が東京にみえてました。犬猫さんたちのためにやれる事はやりたいと、東京に学びに来られたとのこと。
素晴らしいと思うんです。まだまだ私の知らないことばかり、あれこれ違う角度からもみて、自分なりに役にたてるようにと。
そのなかで心配ごとをすこしもらしてらっしゃいました。それは教える側、伝える側が自分の言う通りにしないとダメという否定的なことを言うということ。
それはわかるんです。とっても。私も教える側なんで。なんでそんなこともできんかな?と思ってた時期もありました。
でもね。飼い主さんにも犬猫さんにも事情はあります。教えたことができないなんて当たり前。飼い主さんがダメなんじゃない。犬猫さんがダメなんじゃない。みんな一生懸命。
だけどできないことだってあるし、みんながみんな同じことをするのは難しいよ?生活ってものがあるわけで、毎日朝早くから仕事にいって夜遅くまで働いて、その犬猫さんのために寂しいかもしれないけど、お留守番させて、テレビカメラでのぞきながら、心配しながら頑張ってる人もいる。そして帰ったら思い切りだきしめて、今まで一緒に過ごせなかった時間を取り戻すように時間をつかう。
全部の良い事をしてあげたいけど、それができない……と落ち込むお母さんもいる。それを感じずに教えるのはただの学校教育と同じ。教科書があって、良い点数とれなければ落ちこぼれ。そこに命があって、それぞれの生活や環境があるからこそ、その人その犬猫の両方に寄り添う、とても大切なことだと思います。
あとは病気のない元気なパピーからはじまるゼロスタートの子もいれば、保護犬猫のように、リスクがあって病気があって、マイナススタートの子もいる。
皆同じじゃない。だから相談に乗らなきゃならないと思う。寄り添うことが相談なんですよね。相談者が治すわけじゃない。教える側は直せない、こうやったら良くなるよってアドバイスだけ。それでよくなったらそれは、飼い主さんと犬猫さんが頑張ったって証拠。
賞賛されるべきは教える側ではなく、その当事者なのだということなんです。
これはお薬と同じで、その気持ちになって考えて、なんで出来ないの?なんでやれないの?ではなく、どこまでならがんばれるのか?ってことを聞いてあげたいし、ひとつでも変われば素晴らしいことだと思います。だって、治したくない、良くなって欲しくない飼い主さんは相談なんて来ないし悩みませんよね。
私は心底助けたいと思う。そこで苦しんでいて、どこでもドアがあるならすぐ飛んでいきたい。でも出来ないから少しでも伝えたいし、もしなんかあったときも不安なときも傍にいたいとおもうから、夜中でも電話にでます。飼い主さんがよし!って心になれば、それは犬猫さんにもつたわるからね。(昨日の皮膚病も同じでしたね笑)
私たち、教える側はいつも勉強させてもらえることを感謝しないとね。と思っていつも相談にのってます。
ただこれだけは……自分の子は可愛いです。長生きしてほしい、当たり前ですよね。教える側はたくさんのご相談者さんがいます。返信が遅くなることもよくあります。そのときはうちよりも重症な子がいるんだなと思ってあげてください。それだけ自分の子が大切なのもとてもわかります。でもやっぱりみんな大切な家族をもっているので、他の子の命も大切……とその気持ちひとつでみんなが救われます。
あとは大切が度をすぎれば、愛犬愛猫にとってよいことではないこともご理解ください。すべてをやることでよくなるわけではなく、打ち消しあう作用があるものも存在します。
だから病気に対して医者がいて、薬には薬剤師がいるのです。
これもあれもあれもこれもやったら健康になります!というのは嘘になります。まずはその子にあったケアをしてくださいね。
9/18 薬剤師のつぶやき17 ~皮膚疾患の間違った投薬とマラセチア~
この写真は飼い主様の許可を得て、掲載させていただいております。
年齢17歳 柴犬 マラセチアの診断で長く病院通院。お薬もずっと飲ませていました。(アポキルなど)
でもここまでひどくなり、かゆみも強く、お薬を飲んでも治らず、年齢による痴呆もあるのか噛むようになってしまって治療もできません。
かゆみで悲鳴をあげるように鳴くので飼い主様のご家族様がみるにみかねてご相談にきました。
それが7月1日。
本来このマラセチアという菌は普通に皮膚にいる常在菌で、皮膚の免疫がおちるとむくむくかゆみを従えてでてきます。
マラセチアは免疫が落ちると出てくるというところがポイント。
さてこの子はアポキルなどの薬を使用。
アポキルはたしかにかゆみはとめてくれますが、それは免疫を落としてかゆみをしずめるシクロスポリンのような免疫抑制剤の要素があり、これは添付文書にもかかれていることなのですが……
下記が添付文書の抜粋です。
②重要な基本的注意
・本剤は免疫系を抑制するので、個々の症例における治療上のリス クとベネフィットを考慮した上で慎重に投与すること。
・本剤は感染症に対する感受性を高め、腫瘍(潜在性の腫瘍を含む) を悪化させる可能性があるため、慎重に投与し、継続的に観察す ること。
・本剤の投与開始前に細菌、真菌(皮膚糸状菌、マラセチア等)又 は寄生虫(ノミ、ヒゼンダニ等)感染等について検査し、適切な 治療を行うこと。
・本剤を長期的に投与する場合は、定期的に血液学的及び血液生化 学的検査を実施することが望ましい。
薬というのは間違いなく副作用があります。薬剤師の私たちからしたら副作用のない薬は薬ではありません。間違った使用方法は命の危機にもつながります。
この子は長年アポキル等の薬を続けたことでこのような結果になり、かゆみで寝ることもできず、泣き叫ぶようになったということはかなりしんどいです。聞いただけでも涙がでます。
相談からマラセチアセットをお使いいただきました
・・・この子の場合年齢もあったので通常のように洗うことができないこともあり、ティーツリーフォームで皮膚被毛を綺麗にしてマラセチアへの対抗をする、イヤーリリーフウォッシュで皮膚被毛を清浄し、またマラセチアのかゆみが少しでもやわらぐのもあるので使用し、イヤーリリーフドライでマラセチアをしずめるために皮膚免疫を整え皮膚のpHを酸性化させます。
これはハーブ専門店を経営されている、ハーバルガイドさんに御相談があり、私に連絡がありました。
飼い主さんの気持ち次第なのでそれを含めてお話いただいき、このケアセットとなりました。
飼い主さんは根気よくわんちゃんに少し噛まれながらもこの皮膚免疫を整えるために、毎日毎日がんばった結果このように1ヶ月半でここまで良くなりました。
これはわんちゃんと飼い主さんの根気とケアの結果です。
ここまでにしてしまうと簡単には治りません。でもここまでわんちゃんががんばったのも飼い主さんの気持ちが伝わったのだと思います。まずはかゆみも和らげば、わんちゃんにもそれは伝わります。大変かもしれませんが、長期戦かもしれませんが、わんちゃんときちんとむきあって、そしてこの皮膚病とむきあってケアしたら薬に頼らなくても良くなるんです。
マラセチアは皮膚の免疫、体の免疫が弱ると出てきます。それをかゆみだけとめたところではこのようにひどくなってしまうのです。安全だし安心な薬で簡単に治る病気なんてこの世にはありません。病気には必ずそれをケアする方法がいくつもありますが、薬が治してくれるわけではなく私たちの体、愛犬愛猫の体の機能が治療するんです。
肝臓疾患、腎臓疾患があれば免疫は落ちます。だからこそ血液検査をして体の機能がきちんと正常に動いてくれるようにケアしたり、また食事をかえて病気から少しでも体を守るべく「予防」をするのです。
間違ったケアや治療はただひどくなるだけです。
もし病院にいってなかなか治らない・・・良くならない・・・悪くなる・・・ということがるのであれば、飼い主さんが先生に愛犬愛猫のために進言してあげてください。このようになるのも先生を信じて薬を服用していたからなのはよくわかりますが、ひどくなっておかしいと思ったらその治療について聞いてください。
皮膚疾患は1年でも2年でもかかる疾患です。でもきちんとケアをしたらそんなにひどくなることもなく経過も良いまま過ごせることが多い疾患でもあるのです。アポキルはたしかにかゆみをとめますがそれ以上のことはしてくれません。それをしっかり頭においてまずは皮膚のケア、そして食事内容を見直し、ただ皮膚病によいと書いてある商品でも皮膚疾患の内容によってまったく合わない製品もあります。わからないことはいつでも聞いてください。
今日はすこしあつくなったつぶやきでした。
9/17 薬剤師のつぶやき16 ~ラム&クランベリー~
もしかして初めて商品を輸入した経緯を書くかもしれません笑
このラム&クランベリーにはいくつかの想い出?思い入れ?があります。
ひとつは輸入後ではあるけれど、我が愛犬がこの食事で本当に毛並みもつやつやで、きっちりとした体作りができて体調を崩すことがほぼないこと。繁殖するためのチワワで体ができていないのにガリガリ。皮膚炎もあって口腔内もかなりヤバイ・・・。そしてまだ信頼されてない時期があり、我が家にきたときに愛護団体さんに渡された食事をたべさせていたけど、下痢するし皮膚はかゆかゆになるし、そして考えたのがこの食事。目の色かえて食べてくれて今では健康そのもの。このラム&クランベリーはまさに絆を作ってくれた缶詰。
次にオランダではじめてこの製品を見た(食べた時)。衝撃でした。こんな食事があるんだ・・・・と。お肉なのにやわらかくて、開けた瞬間とっても良い香り。クランベリーがはいっているのがわかるほどの食事。コレ食べない子いないなと思うほど。
3つめはストルバイトに使えること。ストルバイトの食事というのは、ドライフードだけでトッピングもしないで結石を落とさなければいけない食事ばかりだったので、この食事混ぜてもいいんだ・・・・と思ったときのあの喜び。こんな美味しい食事と一緒に食べてもストルバイト用としてあげられること。
もちろんPRO-VET のストルバイトの食事も一緒に食べるのが条件であるとわかっていても、ドライフードだけより、こんな美味しい缶詰と一緒にたべられるってだけでテンションあがるなあと感心したんです。今までの概念ではトッピングはダメというのがほとんどだったので。
タンパク質が多くてもカルシウムやミネラルが多くても、また原因不明の結石もあるなか、なんだか光がみえてうれしくて、その日はずっとその缶詰(オランダでもらってきた)を見ながら過ごしました。
あの日から本当に大切な商品となったこのケンネルズフェイバリット ラグジュアリーシリーズ。
製造中止を聞いて、なんとかならないかとずっと色々折り合いがつくように製造元と対話し、なんとか多少の値上げで買える値段で製造できる状態にまできて・・・きっと今度の製品がきたら泣ける。
この製品なら食べられる、うちの子本当に好きなんです、この子はこれしか食べません、などなど多くのお声をいただき、がんばってがんばってやっと輸入にこぎつけ、12月中には入荷する予定です。
このラム&クランベリー、そしてダック&ブルーベリー、そしてターキー&パイナップルにはいくつかの想い出がありますが、この製品はなくしちゃいけないという思いだけでつながった製品です。きっとみなさんの愛犬も喜ぶ製品と自信があります。
それぞれ特徴はありますが、このラム&クランベリーはストルバイトで苦しむ子の併用食としては救世主!です。
ぜひ、ストルバイトなど結石を繰り返していて、療法食だけではと思う方も、偏食だったり、好き嫌いの多い子におすすめいたします。
うちの子も楽しみにしているこの缶詰
あとどれくらいでくるのだろうと日々楽しみにしている黒田でした。
9/16 薬剤師のつぶやき15 ~膵炎~
これから・・・すでにはじまっているかもしれません。愛犬の体のなかの変化。
夏が終わり秋にかけて一番多くなりますので注意してください。
膵臓は、多くの消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌して食べ物を体内で消化するはたらきと、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌して体内の糖分をコントロール(血糖のコントロール)するはたらきを担っている臓器です。
膵炎とは、膵臓の炎症によって、2つのはたらきがいずれも徐々に衰えていく病気です。つまり、膵液(消化酵素)は本来食べ物を消化するのですが、膵臓自身を溶かしてしまい、繰り返し炎症を引き起こすことで膵臓の正常な細胞(腺房細胞、ランゲンハンス島)が徐々に破壊され、膵臓が硬くなったり(線維化)、膵臓の中に石(膵石)ができたりします。胆石やストレスでも発症することが知られており、なかには原因がはっきりしない場合もあります。
わかりやすく言うと膵炎は体液のバランスが崩れてお腹の痛み(激痛)と嘔吐下痢をします。でも元気なので???の場合が多く、下痢をしても下痢止めを飲んだり、食事はお腹すいたアピールをするので普通にあたえてしまう場合が多く、そのためだんだんひどくなります。
この時期の下痢嘔吐は大変膵炎、または膵炎になる手前の場合も多く、続くようなら食事をいったん抜いて水分だけを与えます。このときに水を飲ませるだけではなく、糖分のはいったものを少し飲ませてあげることも大切です。
糖分というと砂糖と連想しますが、このときの糖分というのは体液バランスを整えるために少し糖分(おかゆの上澄みとかでも良いです)をとることで、少し和らぐ場合があります。また食事は1日は抜いて臓器をいったん休ませ、その日はお散歩も控えるようにするのが良いと思います。まずは体を休ませてあげることを目標にしてください。
そして次に動物性タンパク質のないウエットフード食事をぬるま湯などでゆるめ、柔らかくしてスプーン1さじから給餌量半分くらいまで(食べたら)あげます。それで排泄の感じをみて、下痢がおさまりそうならだんだんとまずは量を、その次に食事の堅さをもどしていきます。
1週間ほどで下痢がなんとなくおさまってきますが、最初からドライフードをど~~~んとあげてしまうとまた元に戻ってしまうことがありますので、内臓をいたわるためにもつぶやきにものせたデトックスをおこなってみてください。
またこの場合の最初のウエットフードをドライフードをお湯に浸した物でよいですか?というご質問もよくうかがいますが、それはNGです。ドライフードはつなぎがはいっているためにあまり膵炎には適していないので、できるだけウエットフードをおすすめします。またコールドプレスやフリーズドライなどつなぎをつかわずお水やお湯で完全に溶けてしまうような食事でもOKですが、だいたい動物性タンパク質のものが多いので、植物性蛋白の食事をあげるようにしてください。
慢性化するとこわい膵炎です。仮性糖尿病になったり、てんかんなども引き起こす可能性がありますので、ぜひとも無理は禁物です。
肝臓の疾患をわずらっているかたは特になりやすい膵炎。この時期は細心の注意が必要です。
9/15 薬剤師のつぶやき14 ~皮膚のケアと口腔のケアの関係~
最近、皮膚のケアというものには口の中のケアも必要だなあと思うことがありました。そして私の愛犬へのケアは何をしていますか?というご質問にあったので少しだけ書いておこうとおもいます。
先日口腔内出血があり、また歯がひとつなくなっていて、歯茎なども最初の生まれてからの3年間栄養不良で出産ばかりしていた(と聞いている)のでそのときの影響がでているのだと思います。
生まれて3年間はきっちりとした栄養を摂取することで、かなりその後の状態がかわりますが、どうしても保護犬の場合幼少期を過酷にすごすので栄養失調などの状態でしっかりと栄養が行き渡らず、なかなか体調は不安定・・・ということも多いです。
そのため私は最大のケアをしていこうと思っています。
皮膚(被毛)を舐めるという行為をすることで、皮膚や被毛が赤くなりますが、これは唾液によるものが大きいと思います。口の中にばい菌が多かったり酸性に傾くことで舐めた場所は赤くなりやすいのだと思います。我が愛犬は我が家に来たときから口腔に問題があり、一生懸命ケアしていましたが、最初のうちは皮膚が赤くなったり、足の白いところが赤く染まったり。
そのため最近のケアは・・・
※液体サプリ「抗菌」これでお口のなかのばい菌をやっつけます。
※デンタルフォームで歯垢歯石を綺麗にすることと、歯茎を健康にするために1日2回
※昼間オヤツの後に「デンタルジェル」これをやっておくと酵素で汚れを流してくれるので食べた後のケア
※磨くことはしませんので「デンタルケア フィンガーワイプ」少しだけ犬歯を磨きます
※犬用(たまに猫用)ドライシャンプー うちのピン先が回るコームと回らないコームを交互につかって皮膚被毛を綺麗にします。
※イヤーウォッシュとドライは必ず足の裏の間や赤くなってしまうところ(まだ赤くないときでも)
※シャンプーしたときにはお耳の中にも使用します。基本的にはお耳がきれいなときでもシャンプー時にはケアしています。状態によって頻度を変えています。
チワワで保護犬であったためほかにももっとたくさんのケアをしていますが、毎日必ず2回おこなうケアの内容です。これが我が愛犬の皮膚被毛、そして口腔内の健康を維持する結果となっているようです。
今年も血液検査はパーフェクトでした。ワクチンの抗体も3年目まだ多くついているものもあったので、この結果をふまえて来年のワクチンは抗体がさがったものだけでも接種するようにしてもよいかと思いました。
食事も気をつけてはいますが、未来の疾患もふまえてこのようなちょっとしたところにも気をつけています。